2008年9月14日日曜日

Break Through : 地方へ雇用と所得を持ってくる

昨日、銀座の「ぴょんぴょん舎」という、盛岡の人なら誰でも知っている焼肉・盛岡冷麺のお店にイマさんとコバさんと行きました。いろいろ話していた中で(個人的には自民党総裁選とか、それ以上に自民・民主の選挙公約とも関係してくるのですが)、田舎はこのまま衰退していくのか?という議論に(と勝手に思っている)。

個人的には、このまま行ったらそうなるのだと思います。だから補助金か?という議論も明快ですが、単純すぎます。その前にできることは何か?

ちょうど先週のNHKの経済羅針盤で農業の株式会社「ぶった農産」が取り上げられていたり。このシステムをもしかして、日本に拡大させられる可能性はあるのではないか、と思います。農協改革は最終的な姿なのかもしれませんが、あれだけ支持率の高かった小泉内閣ですら、郵政改革でも相当な逆風にあったわけですから、ここで農協に拡大させると、郵政以上の反対勢力があるでしょうから、現実問題、相当長い道のりで取り組まないといけません。

さて、他の道としては、ちょうど去年の6月に秋田県湯沢市に、あるイベントの準備で稲庭うどんの「佐藤養助商店」さんを訪問したときのこと。稲庭うどんというのは、もともとあの地方で食べられていたうどんで現地の主要な産業は農業だが、このままではあの地域が衰退してしまう、ということで、「うどん」を使って、全国進出を成し遂げ、いまやブランド化しています。現在でもあのうどんは湯沢市の稲庭町でしか作られていないが、地元に雇用をもたらしているのです。成功秘話を聞いているときにも、もちろん稲庭うどんのおいしさを広めることはもちろんのこと、こうして全国進出を成し遂げ、地方に雇用をもたらし、その地域・コミュニティーの所得を上げること、ということも彼の目標の一つであったそうです。「地方は疲弊する一方」という流れに打ち勝っている例と思います。

また、一連の取材の中で酒蔵にも行きました。日本酒といえば新潟が有名ですが、東北も地酒がたくさんあります。この取材の中で伺ったのは、「斉彌酒造」さんを訪れ、こちらでも様々なお話を伺いました。そもそも日本酒は、米作りの繁忙期が終わって閑散期に入るときに作るもの、だそうで。言われてみれば、当たり前なのですが、そんな季節感すら気づかなかった自分が少々悲しい。だから以前は地元の農家の人が米作りのあとに酒造りにも狩り出されていたのだそうです。いわば、日本酒は、沢庵やそのほか貯蔵品のような、保存食、だったのかもしれません。と、話題はずれましたが、結局こうして作った酒を都会や、はたまた海外へも輸出する。これによって、外の需要を発掘して、つなぎ、雇用や所得を地方にもたらす。そして、酒造りは農業と兼業。農業だけにこだわらずに、外から資金を引っ張ってこれる一例、と思いました。

さて、今日行った「ぴょんぴょん舎」も、あとは同じ銀座に進出する秋田料理「なまはげ」も、精神的には同じところからきていると思いました。特に「なまはげ」は、安田久さんという秋田出身の「プロデューサー」がお店を開いたことで有名ですが、彼の根本的な考えも同じところからきていると思いますし、ぴょんぴょん舎も、店員さんのお話を聞いていたら、実は今は盛岡市になりましたが、以前の玉山村出身の方だったりして、お話を伺っていると、店長も岩手県出身で同じような考えを持っているようです。

これは、なにかつなげられるかもしれないなぁ、と思いながら(まったく仕事と関係ないですが)、焼肉と冷麺に舌鼓を打ちました。そして、この自助努力こそが、今選挙戦では「地方へのバラマキ」とか騒がれていますが、ブレークスルーするための突破口になるのではないかと。

また、農業・食品関連だけではなく、以前の経済羅針盤でやっていましたが青森県八戸市の「アンデス電気」(http://www.andes.co.jp/exec/viewTop.do)のようなこともありうるのだと思います。この企業、あるもので世界のシェアの4割を誇っています。つまり、いままでは、日本国内の大都市圏から地方への所得移転、でしたが、このアンデス電気の場合は、世界から日本の地方都市への所得移転(その逆側での付加価値の輸出)が行われているわけです。このようなブレークスルーをできる規制緩和なり、これを促進するための機関なりが、あることの方が、よほど重要であるような気がします。

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