2009年5月15日金曜日

ファンダメンタルズと期待(心理)

金融市場、殊に「投資」ということになると、よく言われるのがこの2つである。日本経済が悪いから株はやめておいた方がいいか、経済が良いからやった方がよいか、という質問をよく受けたりするが(もちろん一概に言える問題ではないし、そんなアドバイスができるほど私はものを知っているわけではないが)、そうではない。

特に情報技術が発達し、かつ過剰流動性下(かつ、正常に信用乗数が回っている環境下)で、市場参加者が多い状況下では、ファンダメンタルズを読みに行く、ということが行われたり、そういう投資家がどのように動いているか?というところが注目されたりする。

以前海外のお客様とのミーティングで、投資判断に重要な要素は何か?運用を考える際に次の2つのバケットに分けるとしたらどの配分で入れるか?という質問の中で、①早耳情報、②分析力、③投資家の動き、と聞かれたことがあるが、正にこの点を言い表していると思う。(ちなみに、この情報技術の発達した現代において早耳はあってないようなものだし、かつインサイダーによって利益を得ようとするのは本来あってはならないので、その意味では「早耳情報」は限りなく重要視されなくてよい、と私は考える。)

やはりこの知識産業において、金融の果たす役割が、②であり「金融=情報産業」であるとするならば、②のウェイトが多くなろう。ただし、資金がジャブジャブ(供給量×流通速度)の環境下(後者は一時的に信用危機で急落しましたが)、多くの投資家が参加している環境下、③も無視でいない存在であり、「行動ファイナンス」なる領域が脚光を浴びているのもこのコンテクストから言えることなのだと考えている。

もし③がさらに台頭していくならば、金融の果たす情報業としての役割は、対投資先や対融資先というよりも、もっと違った領域を相手にするような気がして、個人的には行動ファイナンスは面白そうではあるけれども、あまりメインにはなってほしくない、と考えている。とはいえ重要なことは重要で、世の中の流れには逆らえないし、たぶん逆らってもあまりいいことはない。

さて、前置きが長くなったが、今の状況を見る限り、今ままでもそしてこれからも日本経済や世界経済がV字回復する兆候も、その理由もなく、ファンダメンタルズは間違いなく暗いだろう。それはファンダメンタルズだ。では投資タイミングもこれと一緒だろうか?と言われると、それは今まで書いたような事由で“否”だろう。

なぜか?それは、悪い情報を織り込んでいきつつあるからだ。これは次のようなたとえで考えると分かりやすい。 バイトに今度新人A君が入ってくる、という状況下、「イケメン」との前評判が立った。それに胸を膨らませているバイトのBさん。実際A君が入社して、見たところ「あんまりじゃーん!」というBさんの感想で、一気に落胆ムードへ。

A君はさすがにイケメンじゃないけど、普通な人だったとすると、ファンダメンタルズに関わらず、こちらワガの思い込み(=期待感)の強弱で相場が動く、ということだ。

特に大きく期待が毀損されてきた金融市場だからこそ、③の意味は今強いのだと思う。そんな強弱をコロコロ頭の中で回しながら、実際に市場環境を見たり。。。。そんなことが市場からは見て取れる。本当に面白い市場だなぁ!

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