2007年11月3日土曜日

奔流世界経済と漂流日本経済

この数日間世界経済はまた大きく動きました。大方想定できる動きなのですが、想定よりは若干遅めで、程度は思っていたよりは軽いとおもいました。日本の新聞ではあまり出てきませんので、海外の新聞(をまともに購読すると高いので、インターネット配信で。さいきんは、wall street journalもfinancial timesもウェブで配信してくれます。)や会社の情報端末を叩きながら見ていると、米国経済に次第に暗雲が垂れ込めてきていることがわかります。ただ、大勢の意見は「景気減速(slowdown)」といっており、「景気後退(recession)」の意見は密かに増えてきていますが、マジョリティまではいっていません。

そして、世の中原油価格がまさに100ドルになろうとしていたり(数年前に、あるアナリストが100ドル突破も夢ではない、と語っていたときは、「いくらなんでも」と思っていましたが、おとといは94ドルを突破しましたから、ほぼ当たっていたといってもおかしくはないですね。)、新興国市場の株価がまさに、急騰(sky-rocket)していたり、どう考えても短期的にsustainableではないのですが。

その中、米国が再び乱高下して、世界に動揺を与えており、「roller coasterだ」という表現をよく使いますが、当にそのような状況にいます。

とりもなおさずこの要因は、過剰流動性にあると思っており(もちろん世界経済が好調だったなかで、更にそれを増幅した「増幅器」として)、それを沈静化するのは、当局の金融政策しかないのではないか、と思うのですが、今回のFOMCでは0.25%の利下げ、という結果になりました。利下げ自体は、市場関係者の94%が「織込み済み」としていたようですが、個人的には「金利据え置き」であったかと思っており、事実、利下げ当初は混乱がなかったといえ、翌日からのwall street journalにも「今後の政策運営を難しくした」という論調がありました。

結局、このような状況に追いて金利を引き下げたのは、結果的には引き続き世界が若干バブる状況を許した、つまり過剰流動性の延命を許した、ということなのでしょうけれども、これで引き続き投機マネーが商品市況に滞留して、結果的にインフレを長引かせ、当の米国経済は減速し、スタグフレーションを齎すことになったらどうするのでしょうか??(いくつかこのシナリオが最近出てきていますが。)それとも他の外交政策で、対外的な「インフレ要因」を押さえにかかるのでしょうか?(本当にやったらすごいので、今後の米外交政策に注目しようかと考えていますが。)

今回ここで想起されたのは、米国金融政策当局の考え方の根拠はどこにあるのか?ということです。(あくまで私見ですが)私は日本にいる者として、中央銀行は日銀なので日銀法に書いていることを「金融政策当局の目標」として、「他国もだいたいそうだろう」と思っていましたが、やはり国によって異なり、今回はその違いが出たのかもしれない、と思いました。(多分そうでなければ、今回を整合的に説明できないような気がします、少なくとも私の頭脳の処理能力では・・・。ぜんぜん異なる伏線があったら、ぜひ学びたいです。)つまりは、やはり米国当局は、「国益」であるのだろうと。ですから、ここで「バブルはいけない」という正論を振りかざして、金利据え置き(さすがに引き締めにはしないでしょうけれども)にした上で若干のバブルを黙認しつつ、米国に影響が及ぶ物事のソフトランディングを見つける、ということなのかな、と。但し、今回の利下げでソフトランディングへの「オプション」は狭まったと思います。

なるほど、と、今回は勉強させていただきました。と、同時に足元、米国だけではなく世界各国(特にアジアや中南米)などの国々が覇権をめぐって、しのぎを削っています。資源をめぐる「領有権」「国営化」「経済協力」「提携」が叫ばれている中で、日本は確実に出遅れ感を感じてしまいそうで、そのような毎日にいると、危機感に苛まされています。

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