10月初め、同僚とある二次会でたまたま恵比寿のバーに入った。メニューを開くなり、そこには「Absinthe(アブサン)」の文字。この名前には見覚えがあり、以前会社で一緒だった先輩が話していたことがあるが、全く当時私には何のことかわからなかった。
興味本位で頼んでみると、アブサン・ファウンテンと呼ばれる何ともまがまがしい給水機、それにこれまたいかがわしい形をしたグラス、それに毒々しいスプーンが出てきた。頼んだはいいものの、飲み方が分からず店員に飲み方を聞いた。グラスの底部にはアブサンが入っていて、それに給水機から水を垂らしながら薄めて飲むのだそうだが、水で薄めると、透明だったアブサンが白濁する。これは、おどろおどろしい。。
給水機といい、グラスの形といい、スプーンといい、飲み方、そして水を入れたら白濁する様子などなど、全てにおいて何とも、怪しい。。まるで「裏社会」的雰囲気を醸し出している。。。。
飲んでみると、やはり薬草リキュールだけあって、一クセある味なのだが、それは例えてみると、中華の香辛料である「八角」にも似た薬草の味。それに蒸留酒のアルコールが入った、といった味であった。それまでの訝しい雰囲気が吹き飛ぶかのような、新鮮な香りと味。とても面白いものを味わったと思った。
早速その日出会ったお店を先輩に紹介し、その週に早速また行ってみた。マスターは前回と変わっていたが、話を聞くと、先週までこのアブサンの世界コンクールの審査のために日本を離れていた、というブラジル系の人だった。お店の人や、先輩の推薦(というか半ば「命令」(笑))に基づき、いろんな味を試してみた。フルーティーな味、癖が強い味などあってかなり楽しかった。
そしてこのアブサン、どんな背景のリキュールなのか調べてみると、結構面白い過去があることが分かった。
このリキュール、その一部の成分から、実際に過去には禁止された経歴も持つ酒なのだが、30年ほど前にようやくWHOからも解禁になり、禁止されていた国々でも徐々にそれが解かれつつある酒である。また、この酒を特徴づける薬草は「ニガヨモギ」であるが、この薬草は古代ローマ、エジプトにおいて薬草として使われてきたもので、非常に古い歴史を持ち、アブサンのような蒸留酒になる前にも、大衆で飲まれていた経歴を持つ。それが歴史的、社会的、経済的な影響から19世紀後半には広く欧州で飲まれるようになったものの、以前からある一部成分が健康障害を引き起こす可能性があるとして禁止の動きとなり、ようやく最近また解禁されたものだ。
酒の独特の味もさることながら、その歴史的、社会的、経済的影響に思いを及ばせつつ飲むと、ただでさえアルコール度数が高いのだが、余計に酔ってしまいそうだ。
なお、英語ではアブサン・ミュージアムがあります。
2 件のコメント:
Hoso-Chan
この間は、素敵なBarの紹介ありがとう。「命令(?)」に従ってくれたおかげで、僕も色々なアブサンを試せて、幸せ一杯でしたよ。
また近いうちに行きましょう!
追伸:
僕もちょうど昨日、当日のアブサンの記事をBlogにアップしました。
http://blog.livedoor.jp/drunkonspeech/archives/51732648.html
どうもー。この前はホント僕も新たなものに遭遇できた感じで、一人だったら何もわからないところ、Chun-sanのおかげで、いろいろ飲むべきお酒などが分かって、本当に楽しかったです。
あの店は、通い詰めましょう! 私も、ちょっとずつ、歴史背景やら、薬草のことやら、詳しくなってみたいと思います!
のちほど、blogを訪問しまーす。
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